dog犬の診療・予防
犬には1kgほどの超小型犬から50kgにもなる大型犬までおり、大きさも犬種もさまざまです。犬種や年齢に特有の疾患もありますし、病気の進行は個体それぞれによって違うので、より丁寧な診察が必要です。
ファルコン動物病院では、犬が安心して診察を受けられるように配慮していますが、慣れたところでリラックスして診察が受けられるよう、ぜひ子犬の頃から定期的に予防や検査、診察にきていただくことをおすすめしています。
食欲や元気かなどの体調、動く様子や排便・排尿に異常があるなど明らかな病気の症状がある場合もありますが、病気の初期など大きな症状が出ないこともあります。
言葉が話せない犬の代わりに、飼い主さまが不調や病気のサインを見ていてあげてください。
また犬の健康を保つには、定期的なトリミングやシャンプー、食事管理、トレーニングや散歩による運動などを行うことが大切です。

持参するもの
- 保険証
- 他の病院でこれまで行った検査結果など
- (子犬の場合)ペットショップやブリーダーさんよりもらった書類ワクチンなど証明書
犬によくある病気
アトピー、脱毛症、外耳炎など
皮膚科
犬は猫など他の動物と比較して皮膚疾患の多い動物です。
皮膚病は痒みや脱毛など犬の様子や見た目に影響する症状が出るので気づきやすい病気です。
アトピー性皮膚炎は生後半年から3歳頃に発生することが多く、痒みの程度によって継続的な皮膚のケアやお薬でコントロールが必要な場合もあります。
柴犬やシーズーなど皮膚科疾患の多い犬種もあるため注意が必要です。
下痢嘔吐、異物の誤食など
消化器科
下痢や嘔吐が主症状となり、重症になると食欲や活力が低下することもあります。
特に子犬を飼い始めたときは、環境変化によるストレスや不慮な誤飲・誤食などによる下痢や嘔吐など出やすいので、困った時は病院を受診し治療を受けましょう。
運動障害、呼吸不全、フィラリア症など
循環器科
心臓は全身に血液を送るポンプの働きをするため、心臓病は心臓機能の低下により酸素や栄養の欠乏を起こし、運動障害や時に呼吸不全など重篤な症状を起こし命に関わることもある病気です。
僧帽弁閉鎖不全症は特に小型犬で多く見られる弁膜症で、加齢に伴って発症し徐々に悪化します。初期〜中期は見た目の変化では気づきにくく、予防医療時の聴診や健康診断で発見されることも少なくありません。
早期発見が大切で適切な時期に適切な治療を受けることにより健康寿命を伸ばすことができます。
骨折、膝蓋骨脱臼、椎間板ヘルニアなど
運動器科
運動器(骨、筋肉、関節など)疾患は、動物の動きに影響するため飼い主さまに気づきやすい病気です。運動器疾患は外科治療が必要になることも少なくありません。
日本では小型犬の飼育が多く、体格が小さいため大型犬に比較すると骨折のリスクが高いです。腰の高さから落下しても骨折する場合もあるので注意が必要です。
膝蓋骨脱臼(パテラ)も小型犬で多く見られます。遺伝に伴う問題のため飼育開始から成長の段階で見つかることが多く、加齢に伴って悪化することもあります。
椎間板ヘルニアはミニチュアダックスなど特定の犬種で発生が多く、初期では抱き上げた時に鳴く、動きが悪いなど痛みに由来する症状ですが、進行により歩行が困難になる場合もあります。
子宮蓄膿症(メス)、潜在精巣(オス)など
生殖器科
オスは睾丸、メスは子宮・卵巣を持ち、それぞれ起こる病気が異なります。
子宮蓄膿症は猫と比較して犬では発生が多く、子宮で細菌感染を起こし命に関わることもある危険な病気です。
潜在精巣は生後数ヶ月で陰嚢に降りてくるはずの精巣が、お腹のなかまたは内股の鼠蹊部に留まってしまい降りてこない問題です。潜在精巣は通常位置にある精巣より腫瘍化のリスクが高いため注意が必要です。
いずれの生殖器疾患も早期の避妊・去勢手術で予防することができます。
歯周病など
歯科疾患
歯周病は口の中の歯周病菌による病気で、歯石の付着や歯肉炎が発生し悪化により歯が抜けたり、膿が溜まることもあります。
人とは異なり歯石の除去でも麻酔下での処置が推奨されます。
犬での発生は多く、歯磨きやサプリメントなど日常的なケアが重要です。
特発性てんかん、前庭障害など
脳神経科
脳は体の中枢のため、病気の発症により行動や動きに変化が生じます。
特発性てんかんは遺伝的な原因が疑われる比較的若い年齢で発生する脳の病気で、日常は特に症状はありませんが、けいれんや硬直などの発作を時々起こす病気です。
治すことは難しく発症がひどい場合は薬によるコントロールが必要になります。
加齢により脳の機能が低下すると攻撃的になったり夜鳴きをしたり、飼い主さまにとって困る症状が出ることもあります。
ペットも高齢化があるため完全に防ぐことはできませんが、兆しが見えたタイミングでサプリメントを使用したり、運動管理や触れたり呼びかけたりして精神を刺激することが予防として大切です。
犬の避妊・去勢
避妊手術は子宮卵巣を、去勢手術は睾丸を摘出する手術です。
避妊、去勢手術は、以前は望まない交配を防ぐことが主な目的でしたが、最近は病気の予防を目的に手術をすることが増えています。
手術自体は10歳を過ぎたシニア犬でも受けられますが、体力や麻酔のリスクなどを考慮し、若い年齢で実施することを推奨しています。
特にメスでは初回発情を迎える前の生後6ヶ月~10ヶ月のタイミングで手術することにより、乳腺腫瘍の発生を顕著に予防できるため、より推奨しています。
避妊・去勢手術は、病気予防や行動面でのメリットがあり、飼い主さまと愛犬の生活の質を向上させます。ただし、手術には一定のリスクが伴いますので、当院では詳しいご説明と術後ケアを行い、愛犬の体調に配慮した対応を徹底しています。

去勢手術について
適齢 | 生後6月以降 |
---|---|
目的 | 病気の予防(精巣腫瘍、前立腺疾患、会陰ヘルニアなど)、マーキングの抑制、攻撃性の緩和 特に潜在精巣(睾丸が陰嚢に降りてこない状態)では発がんリスクが高いため実施を推奨しています。 |
避妊手術について
適齢 | 生後6月以降 |
---|---|
目的 | 病気の予防(子宮蓄膿症、乳腺腫瘍など)、発情行動の抑制 |
予防医療について
犬も人間と同じように、病気にならない体を作ることが、健康で長生きするために大切です。
当院では、病気の治療以上に犬の予防医療を重視し、以下のスケジュールに沿って実施することを推奨しております。
犬の混合ワクチン
混合ワクチンは日常で感染する可能性のあるウイルスや細菌感染症を予防するための予防注射です。
接種義務はありませんが、命に関わる感染症もあるためワクチン接種は重要です。
法律で年1回の接種が義務づけられているワクチン(狂犬病ワクチン)と別に、愛犬の体質やライフスタイルによって必要なワクチンを飼い主さまと相談し、接種します。
またトリミングやペットホテル、ドッグランなど犬が集合する施設を利用する場合接種を求められる場合が多いです。

接種時期について(子犬の場合)
- 1回目:生後8週間
- 2回目:1回目接種の4週間後
- 3回目:2回目接種の4週間後
フィラリア予防
フィラリア症は蚊に刺されることで寄生虫に感染する病気です。蚊から感染し成長したフィラリア虫体は、犬の心臓や肺動脈に寄生し、咳が出る、息切れ、疲れやすいなどの症状が現れます。
フィラリアは予防すれば100%防げる病気です。
フィラリアは蚊の発生する時期に合わせて、当院では4~12月を予防推奨期間としています。
月に1回使用する錠剤タイプ・チュアブルタイプ・スポットタイプがあります。 フィラリアのみ予防するもの、ノミ・マダニ予防も可能なオールインワンタイプも取り扱ってます。 通年効果のある注射タイプは当院では取り扱っていません。

ノミ・マダニ予防
犬に寄生するノミやマダニは、かゆみ、皮膚炎などの皮膚トラブルだけでなく、その他さまざまな感染症につながるおそれがあります。人に感染する病気もありますので、確実な予防が大切です。
ノミ・マダニ予防薬は首の裏の皮膚につける滴下タイプとおやつのように食べられるチュアブルタイプがあります。
ノミ・マダニは冬季も発生することもあるため、通年予防(1~12月)が推奨されています。 フィラリア予防も含まれるオールインワンタイプもありますので、ご希望の方はご相談ください。
