cat猫の診療・予防
猫はその性格や動きなどいわゆる猫らしい仕草に愛嬌があり、また散歩の必要がなかったり比較的狭い家屋でも高さがあれば快適な飼育が可能なため、飼いやすさから近年飼育頭数が増えています。
異常が感じられた場合検査や治療の必要がありますし、病気にならないためのワクチンや寄生虫の予防、健康診断は猫にとってとても大切です。
猫は犬と比較して移動や場所が変わったりするとストレスを受けやすい動物です。
ファルコン動物病院では、猫が安心して診察を受けられるように配慮していますが、慣れたところでリラックスして診察が受けられるよう、ぜひ子猫の頃から定期的に予防や検査、診察にきていただくことをおすすめしています。

持参するもの
- ケージ
- 保険証など
- 初診の場合はお家に来たときにもらった書類やワクチン証明書などこれまでの予防、治療経過がわかるもの
猫によくある病気
猫と暮らす上で、食欲が落ちたり下痢や嘔吐など明らかな症状があるときはもちろん、元気があっても猫の行動や様子に変化が現れたときは病気の症状の一つかもしれません。
猫は言葉を話せないため、飼い主さまが不調や病気のサインをいち早く見つけることが大切です。
普段と違う様子に気づいたときは、お気軽にご相談ください。

こんな様子が見えたら病気かも?
- 水を飲む量が増えた
- 痩せてきているように見える
- 毛ヅヤが悪い、毛並みがバサバサしている
- 高いところに登りおりしなくなった
- 爪の出し入れができていない
血尿や排尿回数・飲水量の変化など
泌尿器科疾患
膀胱炎
膀胱炎は血尿や排尿の回数が増えることで飼い主さまが気づくことが多い病気です。
猫は体質や習慣など特定の原因を持たない特発性膀胱炎の発生が多く、時に生涯治療の必要な場合もあります。また、膀胱炎は尿路結石のリスクが高く、特にオスでは細い尿道に結石が詰まり急激に状態が悪くなることがあり注意が必要です。
膀胱炎のコントロールには療法食の継続が推奨されています。
腎不全
腎不全は他の動物と比較して猫での発症が多い病気です。
腎不全は年齢に関係なく発病する可能性がありますが、特に7歳以上の中高齢からリスクが増加し、高齢になる程発症が多くなります。
初期では水を飲む量が増えたり尿量が増えることで気づくことが多いです。悪化により明らかな食欲不振や体調に影響が出て、重症化すると命に関わることもある病気です。
腎不全は治ることはなく機能を回復させることは難しいため、治療は残っている腎機能を悪化させない、進行を遅らせることが目的になります。
そのため早期発見が大切なので、飼い主さまの日常に気づきや健康診断がとても重要です。
下痢・嘔吐など
消化器疾患
胃腸障害はどの動物でも急に起こることがあり、下痢や嘔吐などの症状が続く場合は治療の必要があります。
猫は動くおもちゃや観葉植物の葉っぱに興味を示し食べようとすることもあり、それらの誤食は消化管への負担や中毒を起こすこともあるため注意が必要です。
倦怠感・息切れなど
心臓疾患
心臓疾患は血液の循環不全により血流が乱れ、倦怠感や息切れなど動くことに支障が出て、時に命に関わる病気です。
猫は心筋症と呼ばれる心臓の筋肉に異常が出る病気は発症するリスクが高い動物です。
猫は心筋症の有病率が高く10頭に1頭が持つと言われ、メインクーン、アメリカンショートヘアなど特定の猫種で発症しやすい傾向があります。
比較的若い年齢でも発症することがあり、発症初期ではほとんど症状はなく見つかりにくい病気であり、加齢に伴い徐々に進行し症状が出始めるため、飼い主さまは急に発病したように見えるかもしれません。
心筋症の診断はエコー検査やレントゲン検査など画像が重要ですので、若い時期からでも健康診断は有用です。
口内炎、歯周病など
歯科疾患
猫や犬は人で言う虫歯にはほとんど発症しませんが、歯周病や口内炎は発症することがあります。
口内炎は人や犬では一時的で治るイメージがあると思いますが、猫は治りにくく慢性化することがあります。
猫の口内炎の原因は、口腔内または全身性の感染症や基礎疾患の存在、免疫状態など複数の原因が絡んで発生し特定できない場合が多いです。
猫の慢性口内炎は根治が難しい場合もあり、生涯的に治療が必要な場合も少なくありません。
軽症では一般的なデンタルケアで口腔内の衛生を整えることが重要ですが、重症化すると痛みにより食欲が減退し問題になります。
そのため、痛み止めなどの薬を使用したり、それでも緩和が難しい場合は歯周環境を整えるために外科的に抜歯をすることもあります。
骨折、変形性関節症など
運動器疾患
猫は柔軟な体を持ち身体能力が高く、高いところに昇り降りをする動物です。
外に出たり好奇心の旺盛な猫は家やマンションのベランダから落下して骨折する場合もあるので注意が必要です。
また、猫は老化に伴い関節症を発症しやすくなり、進行により痛みが出るため前述した高い所への登り降りをしなくなったりじっとしていることが多くなります。
特に日本で人気のあるスコティッシュフォールドやマンチカンなどの特定の猫種は、関節症の発症リスクが高い傾向にあります。
関節症は完治させることが難しく、生涯にわたりコントロールが必要です。
早期に発見できた場合はサプリメントなどを使用し悪化を防いだり、痛みの症状により薬による鎮痛処置が必要になることもあります。
犬とは違い従来の痛み止めの薬は猫にとって安定しないため、猫でも安全に使える薬を病院で選択することが大切です。
猫の避妊・去勢
オス猫は発情時にマーキングが増え、大きな鳴き声を出し続けたり、脱走したりすることがあります。またメス猫は、高齢になると生殖器系の病気にかかる可能性が高くなります。
手術自体はどの年齢でも受けられますが、体力や麻酔のリスクなどを考慮し、初回発情を迎える前の生後6ヶ月頃のタイミングでの手術をおすすめしています。
避妊・去勢することで、発情によるストレスや生殖器系の病気の予防ができますので、繁殖の予定がない場合は、発情前までに避妊・去勢することをおすすめします。
ただし、手術には一定のリスクが伴いますので、当院では詳しいご説明と術後ケアを行い、愛猫の体調に配慮した対応を徹底しています。

予防医療について
人間と同じように、病気にならない体を作ることが、健康で長生きするために大切です。
当院では以下のようなスケジュールで予防医療をおすすめしています。
猫のワクチン
混合ワクチン接種は生後2ヶ月以降から1ヶ月ごとに生後4ヶ月まで複数回の接種を実施します。翌年以降は年に1回追加接種をします。
当院では3種と4種の混合ワクチンを取り扱っています。
室内飼いの場合は3種混合ワクチンを接種し、外出が多い場合は野良猫からの白血病感染を予防するため、4種混合ワクチンを接種することをおすすめしています。

フィラリア、ノミ・マダニ、消化管寄生虫予防
猫のフィラリア予防薬は全て滴下タイプです。
また、フィラリアのみ予防するタイプの薬はなく、犬とは違い内服と外用を分ける必要はありません。フィラリアは、犬の病気だと思われがちですが、実は猫もフィラリアに感染します。
フィラリアは蚊に刺されることで寄生虫に感染する病気です。フィラリア虫体は、猫の心臓や肺動脈に寄生し、咳が出る、息切れ、疲れやすいなどの症状が現れます。
フィラリアは予防すれば100%防げる病気です。
ノミ・マダニは、人や他のペットが室内に持ち込むことがあるため、室内飼いの猫でも、完全に感染を防ぐことはできません。
かゆみ、皮膚炎などの皮膚トラブルだけでなく、その他さまざまな感染症につながるおそれがあります。人に感染する病気もありますので、確実な予防が大切です。

当院の予防薬取り扱い
全て滴下タイプでご用意しています。
当院では1〜4月に①、5〜12月に③の投与をおすすめしています。